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Glycoscience
2016-07-26

動物実験施設の利用に関する講習会

医学・薬学の領域で行われる研究の究極の目標は、ヒトが健やかに長生きするための基本原理や手段を見出すことにあると思います。

そのためには、試験管の中での実験や細胞を用いた実験だけでは不十分で、どうしても哺乳類を用いて実験しなければならない必要に迫られる場合があります。

神戸薬科大学でも複数の研究室がモデル動物としてマウスを使用しています。ただし、動物実験は、代替となる実験方法がない場合に限り、できるだけ少ない数の動物を使い、できるだけ苦痛を排除した条件で行うことを原則としています。

実験動物であるマウスであっても命の尊さは人間と変わりありませんので、動物愛護管理法が定める原則に則って動物実験を行う必要があります。

そのために重要なことの一つはマウスの飼育環境です。マウスを健康な状態で飼育するためには動物実験施設自体をクリーンに保つ必要があります。

動物実験施設は大学共通の施設であるため、複数の研究室が利用します。各自で好きなように施設を利用していれば、あっという間に施設が汚染されてしまい、マウスが病気になってしまいます。そうならないように、施設を利用するユーザーが守らなければならない共通のルールが定められています。

さて、この共通ルールですが、江本先生を委員長として組織化された動物実験施設運営委員会によって制定されています。7/26 に開催された動物実験施設の利用に関する講習会では、同委員会の委員の小西先生から説明がなされました。生化学研究室の三上先生も同委員会の委員として尽力されています。

2016_animal experimentation facility use seminor

委員会で審議・承認され施行に至った共通ルールであっても、実際に運用してみると色々と綻びが見つかってくる可能性があります。ですので、委員会では施設の運営状態を定期的に点検して、問題があればルールに改良を加えていくという作業も行なっています。本年度から、旧ルールを見直し大幅に改定した新ルールが適応になります。

説明会に参加して聞いているだけでは想像もつかないと思いますが、新ルールをつくるために、かなりの時間と労力がかかっています。何か問題が起きたならば、その原因を追及し、それを取り除く方法を考え、その方法で本当に解決するのか?ユーザーに過度な負担がかからないか?などを検討し、実際の運営状況に照らし合わせながら、解決法の正当性と妥当性を判断し、委員会で話し合って承認を得るというプロセスを経て、ルールが改定されます。私立単科大学の場合、専任の人がいるわけではなく、委員に任命された教員がこのような作業にあたります。ほとんどの教員が研究室を運営する業務 (卒業研究生の指導など) とともに、担当講義の準備、国家試験や CBT 対策用の試験問題の作成、入試問題の作成、学外実習施設への訪問など数々の仕事をこなしながら、大学の運営に関わる何らかの委員会に属し、その業務を担当しています。

話が逸れましたが、みんなが気持ちよく動物実験施設を利用できるよう、決められたルールを守って施設を利用しましょう。

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