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Glycoscience
2016-08-30

アクティブラボの風景 (3-3)

8/29-8/30 に、1年生の池部さんと近藤さんが、実験1「ウェスタンブロッティング法によって目的タンパク質を検出する」を行うためにラボに来ました。

8/30 のウェスタンブロットの検出の風景をお届けします。

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5年生の重廣くん、満を持しての再登場!

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無事、バンドが出ましたね。重廣くんが結果の見方を説明しています。「これが分子量マーカーで、これがデコリンのバンドで・・・」

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重廣くんの説明を、どんな顔をして聞いているのかなあと思って、こちらのアングルからも撮ってみました。2人とも真剣に聞いてますね。

今日は最終日なのでプレゼンテーションを行ってもらいました。池部さん&近藤さん vs 生化学研究室若手 (?) スタッフ 3 人です。緊張しなくても大丈夫、フランクにやりましょうってことになっていましたが、ガチな雰囲気は、やっぱり、少し緊張しますよね。

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プレゼン前の最終チェック

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いよいよ始まります。

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アクティブラボで行った実験技術とその周辺について調べて発表してもらいました。

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緊張しているかと思いきや、落ち着いて発表しています。発表の時にも注意がありましたが、cDNA の”調整”は、正しくは cDNA の”調製”です。間違えやすいので注意しましょう。

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「今回できるようになったリアルタイムPCR を使って、調べてみたい遺伝子はありますか?調べたいと思った理由とともに説明して下さい」という問題に対する彼女たちの答えは、肌サイクル (表皮細胞が新しく生まれてから角質として剥離するまでの周期、ターンオーバー) を調べることができる遺伝子を調べてみたいとのことでした。肌サイクルは年齢によって変化するので、肌のターンオーバーの指標となる遺伝子の発現が年齢によってどう変化するかを調べてみたいと思ったようです。ちなみに、肌サイクルは、実年齢+10 日だそうです。(なんとっ!生化学研究室の若手(?)スタッフの皮膚は一ヶ月では再生しないじゃないですか!)

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このスライドは、「標識:〇〇」という部分にちょっと問題があって、先生たちから修正と解説がありましたね。

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質疑応答。1年生にとっては高度な質問を投げられています。DNA と RNA の違いは? 転写される方の DNA は二本鎖のうち、どっち?

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投げかけられた質問にきちんと答えていました。その姿は凛々しく、かっこよかったですよ。二人はプレゼンのために、かなり調べものをしたようです。

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まだまだ質問が続いています。答えにくいことを聞かれても、黙ってしまうのでなく、自分の考えを自分の言葉で述べることができていたので、大変良いプレゼン&質疑応答であったと思います。

池部さんと近藤さんの生化学研究室でのアクティブラボは今日で終了です。この経験が二人のこれからの勉学に対するモチベーションの向上に少しでも役に立ってくれることを願っています。次は、基礎生物学実習や専門科目の講義でお会いしましょう!

アクティブラボに参加した1年生の感想

難しかったけれども、研究室で行っている内容を1年次に経験することができて良かったです。教科書の写真でしか見れなかった受精卵や精子を観察できて、とても良い経験になりました

導入講義では初めて耳にするテクニカルワードが多く、最初は戸惑いましたが、5日間かけて、ゆっくりと理解が深まっていったように感じます。実際に実験を始めてみると、微量なサンプルを扱うため、緻密な操作が必要とされることを身をもって体験することができました。マウスの解剖を見学して体内の構造を見たり、卵管を取り出す作業を直に見ることができたので、座学でしか学んでいない私にとって、とても良い体験になりました。まさに、百聞は一見に如かず!

受精卵を取り扱う作業はとても繊細で、なかなかうまくいきませんでしたが、染色した卵を顕微鏡で観察すると、とても美しくて感動しました

遺伝子の発現を数時間で調べることができることに驚きました。PCR 反応液の調製にはマイクロリットルオーダーの液を正確に測らないといけないので、最初にピペットマンの使い方を覚えました。測定する mRNA は逆転写反応により cDNA にしてから測ること、教科書を読むだけではイメージしにくいポリメラーゼ連鎖反応についても詳しく知ることができたので、とても勉強になりました。また、電気泳動のゲルを作ったり、とても楽しく実験できました

細胞培養は、実際に一人でやってみると、1つ1つの操作で何をしているのかが分かるようになりました。顕微鏡を覗きながら、血球計算盤で細胞の数を数えることも初めての経験でした。

コンドロイチン硫酸は名前でしか聞いたことがなかったけれど、研究報告や実験の説明から、ヒトにとって重要な糖であることがわかりました。今回はウェスタンブロッティングを行ったので、これ以外の実験(サザンブロッティングなど)もやってみたいと思いました

コンドロイチン硫酸 (CS) が二糖の繰り返し構造をもつこと、CS 鎖が結合しているセリン残基を他のアミノ酸に改変するだけで CS 鎖をもたないプロテオグリカンをつくることができること、また、この変異体は CS 鎖の機能を調べる上で有効であることを知りました。さらに、ウェスタンブロッティング法の全工程を体験し、その仕組みを理解することができましたこれらの知識はこれから勉強する生化学に活かしていくことができると思います(研究室スタッフ一同:是非、活かしてください!)

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