アクティブラボの記事が続いていますが、今日も低学年の学生さんが研究室に参加して実験している様子をお伝えしたいと思います。
8/10 に引き続き、Group 3 の2年生3名(岸本さん、玉垣さん、松尾さん)が研究室に来ています。
午前の部 <実験3>
朝、「DNA をアガロース電気泳動で分析するか、細胞培養の操作を体験するか、組織染色用のパラフィン切片をつくるか、どれにする?」と聞いたところ、パラフィンブロックを切ってみたいとのことでしたので、午前中は、パラフィンブロックにした脳をミクロトームで薄くスライスしてもらいました。
これがパラフィンブロック! ロウ(パラフィン)の中心にあるのがマウスの脳です
ミクロトームにパラフィンブロックをこんな感じにセットします
まずは、粟津さん(5年生)がお手本を示します。粟津さんは、組織染色とリアルタイムPCR とHPLC を用いた糖解析の3本立ての実験を行っているので、ブロックの薄切りも御手の物です。
玉垣さん、挑戦中!
5マイクロメートル厚にスライスした組織切片をスライドグラスにのせているところ。切片は薄切りした後、水に浮かべて、筆を使ってスライドグラスにのせます。この操作では”手先の器用さ”が試されます。
「こんな感じでいいんですか?」「いいやん。すごくうまくできてるよ」
2年生たちの作品です。初回にもかかわらず、とてもきれいに切れました。粟津さんもビックリです。
スライドにのせた組織切片は抗体で染色して顕微鏡で観察します。粟津さんが予め染めておいたスライドを観察しています。
午後の部 <実験1>
午後からは、ウェスタンブロッティングのためのタンパク質の電気泳動を行いました。
液体試薬を量りとるための器具、ピペットエイドの使い方を三上先生が教えています。ピペットエイドは学生実習で使う安全ピペッターとは違い”電動式”です。
「まだ?」「もうちょっと」 みんな、ピペットの目盛りに注目しています。
試薬をこぼさないよう、使用後はすぐにフタを閉めています。気が利きますね。
ゲル作製もいよいよ終盤。完成間近です。
SDS-ポリアクリルアミドゲルの完成!
完成したゲルにサンプルを添加しているところです。三上先生の足元にいるのは5年生の宮武くん。5年生と4年生は今日から夏休みなのですが、宮武くんは実験をしにラボに来ています。
ゲルって、透明だから見にくい。サンプルを添加する溝(ウェル)を見失わないよう、また、手元がプルプルしないよう両手でしっかりホールドしながら、サンプルをウェルに注入しています。
サンプルの添加完了!紫色の部分が添加したサンプルです。ウェルの中に、きれいに入ってますね。
いよいよ、泳動スタートです。
「泳動を開始すると、電気分解が始まるので、電極から泡が立ち上ってきますよ。わかりますか?」「わぁ、ほんとだ。泡が出てきてる!」「紫色のサンプルもよ〜く見ていると、ゲルの中に入っていってるのがわかると思いますよ」「ほんとだ!ゆっくり動いていってる」
泳動を待っている間に、今、分析しているサンプル(デコリンという名前のプロテオグリカン)について講義中です。後ろ姿なので、表情がわかりませんが、3人ともニコニコしていて、時々、笑い声が上がっています。
とっても積極的な3人組で、私たちスタッフもとても気持ち良く実習ができました。説明していても、わからないところは質問してくれるし(しかも、それまでの説明をきちんと踏まえた上での質問でした)、質問に答えると、わかったならば、そういう反応が返ってくるし、わからなかったら、何がわからないかを聞いてくれるので、とてもやり易いです。学生さんが理解してくれたことが、こちらに伝わってきますし、わかって嬉しいという学生さんの気持ちも伝わってくるので、この子たちと実習できて良かった、こちらももっと勉強して、この子たちの興味に応えてあげたいという気持ちにさせられます。在る程度、教えてもらったら、理解が完全でない部分は、自分たちの間でディスカッションして補い合ったり、課題の問題について話し合ったり、自分たちが主体となって取り組もうとする姿勢に清々しさを感じました。こういうタイプの学生さんは最近、めっきり見かけなくなってしまいましたが、こんな学生さんの割合が増えてくれたら、大学の雰囲気も随分変わるのに—と思います。
後輩のこんな姿を見て、現在、卒業研究を行っている5年生も感じるところがあったようです。翌日、8/13 は夏休みなのですが、キリのいいところまで纏めてから休みに入りたいので、研究室に来てもいいですか?と尋ねてきたゼミ生さんがいました。もちろん、大歓迎です!
残りの実験は9月に入ってからですね。夏休みは楽しく過ごして、元気に戻ってきてください。