toggle
Glycoscience
2018-01-26

論文発表:コンドロイチン硫酸が乳がん細胞の浸潤能を調節する

Chondroitin sulfates-mediated N-cadherin/β-catenin signaling is associated with basal-like breast cancer cell invasion

J. Biol. Chem. (2017) 293, 444-465

doi: 10.1074/jbc.M117.814509

”がん” は今や、2人に1人は罹患するといわれている病気です。
がん細胞は、”無秩序に増える”性質と”他の臓器へ転移する”性質をもっています。
特に、”転移する”という性質が、がんという病気の予後を悪くしています。”転移”という現象は、細胞レベルでは”浸潤”という言葉で表されます。浸潤とは、原発巣で発生したがん細胞が周囲の組織や臓器に入り込んで広がっていくことです。浸潤(あるいは転移)を防ぐことができれば、原発巣でがんが発症したとしても、がん細胞と共存しながら生きることができるかもしれません。

今回、私たちは、乳がん細胞がコンドロイチン硫酸E と呼ばれる特別な糖鎖構造を利用して浸潤能を高めていることを明らかにしました。
浸潤する能力が高い乳がん細胞でも、コンドロイチン硫酸E を合成できなくすると、その浸潤能が著しく低下しました。がん細胞の浸潤に関わる”悪いコンドロイチン硫酸”の合成を抑えることで転移の危険性を減らすことができるのではないかと期待しています。

論文では、コンドロイチン硫酸E が、どのようにがん細胞の浸潤能を高めているのかについても調べていますので、詳細は論文をご覧ください。

以下は、この研究に関わった学生たちです。

大学院生:木内 啓貴くん(共著者)

ゼミ生:戸田 亜理沙さん、山田 純子さん、中松 英梨さん、芥川 美沙さん、鴻池 勢津子さん、立花 真奈美さん、栄 奈穂さん

関連記事