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卒業研究の目標

4年次にゼミ配属が決定し、6年次に予定されている卒業発表と卒業論文作成に向けて、卒業研究が始まります。卒業研究では、低学年での講義や実習とは異なり、学生自身が自主的に能動的に取り組むことが必要となります。
将来、薬剤師を希望する学生が多い中、なぜ基礎的な実験を行う卒業研究が存在するのでしょうか。一つには、物事を論理的に考える能力を養うことにあります。研究は「目的」「結果」「考察」「結論」から組み立てられています。目的を立てるには背景(過去に行われた研究内容)を理解しなければなりません。何がわかっていないのか?何を明らかにすべきなのか?なぜ、そのことを明らかにすることが必要なのか?を自分なりに理解して、実験目的を立ててください。結果を得るには、実験を行う必要があります。卒業研究の期間は有限ですし、学外実習などもありますので、卒業発表に間に合うように計画を立てて実験に取り組んでください。そして、得られた結果が目的に合致しているかどうかをデータに基づいて考察し、結論を出します。ここまで到達すれば、いよいよ、卒業発表や卒業論文の準備に取り掛かります。論文作成の際には、卒業研究の内容を他人に伝えることができる文章を書く努力をしましょう。

卒業研究では、教科書や青本に載っていない(答えのない)課題にチャレンジすることで、論理的に思考することや文章を書くことの難しさと面白さを体験してください。

卒業研究の目標というと厳格に聞こえますが、以下のように運営していますので、生化学のゼミは決して苛酷ではありません。
・17時までにその日の実験が終わり、ノートが書けていれば帰宅することができます
・週休二日制(通常、偶数週の土曜日が休み)が導入されています
・夏休み・冬休みも2週間程度とれます
・定期試験・追再試験や CBT・OSCE 前には十分な試験休みが設けられています
・就職活動なども特に制限はありません
(ただし、卒業研究も卒業に必要な必須科目なので常識の範囲内で行ってください)
・新歓コンパ・お花見・ゼミ旅行・忘年会・お誕生日会などのイベントがあります

研究室からのお願い ー 心がけてほしい11のこと ー

冒頭では卒業研究の到達目標の「理想」を書きましたが、1日にして目標に到達できるわけではありません。毎日のゼミ生活の中で、下記に書いた11のことを行うように心がけてゼミ生活を送ってください。そうすれば、薬学学士にふさわしいレベルまで到達できると思います。また、以下のことは研究室に特化したことではありませんので、就職してからもきっと役立つと思います。

  1. 研究室のルールを守る
    ・10時までに入室する(セミナーが行われる時は9時半)
    ・朝来た時と帰る時に挨拶をする
    ・週末は掃除をする
    ・欠席する時は必ず連絡する
    ・実験ノートをきちんとつける
  2. 実験の週間計画を立て、それを実行できるように1日のスケジュールを組む
    初回の実験時には付き合ってくれると思いますが、先輩や先生が常に隣に付いて、「今日は〇〇をしましょう」「まず、この溶液をこれだけ入れてください」「次の操作には 〇〇が必要になるので、明日までに準備しておきなさい」とナビゲーションしてくれるわけではありません。一度、操作の全行程を経験したら、自分で計画を立て、それを実行していく練習をしましょう。先輩や先生から説明を受ける時は、何度も聞かなくても良いように、しっかり聞いておきましょう。
  3. 自分にできることをやる
    やる気はあるけれど、自分の力とかけ離れた目標を設定している学生がいます。気負わず、できないことを他人のせいにせず、自分にできることを見つけて一つずつやっていきましょう。わからないことは、自分で調べる、同級生や先輩に聞くなど、いろんな方法があるはずです。わからないと言えば、先生がすべてをわかるように教えてくれるわけではありません。また、1度の説明だけで、すべてが理解できるとは限りません。幼稚園や小学生の時に、逆上がりや自転車に乗る練習をした時のことを思い出してください。やり方を教えてもらったからといって、すぐにできるようになったわけではありませんよね?トライ&エラーを繰り返しながら、できるようになっていったのではないでしょうか。あるいは、ゲームを攻略本なしでやってみた時、最初はノウハウ (know-how) がわかりませんよね?でも、実際にゲームを行い試行錯誤をすることで、情報を入手し、それらを統合的に分析することで、何となく法則性がわかっきて、どんなアイテムを入手すればいいのか?そのアイテムを入手するにはどうすればいいのか?などの方針が立ってくるのだと思います。大事なのは、やってる本人が主体的に働きかけて課題解決に取り組むことです。研究も同じようなプロセスを踏んで進めていけばいいのです。
  4. 自分の実験に責任をもち、期限内に終わるよう計画を立てる
    すべての学生は、「〇〇のために、〇〇を分析する(調べる)」という目標を提示されていると思います。先輩や先生から教わった実験手技を用いて、目標として掲げられた実験を行い結果を出すところまでは学生自身の責任となります。また、卒業研究の期間は有限であるし、その間に学外実習などもあるので、ダラダラせずに、適当な時間で目標を達成することが求められます。結果が出て自分なりに考察できたら、一緒にやっている先輩や先生に報告し、次の計画を立てましょう。実験は1回でうまくいくとは限りません。やり直すことも考慮して計画を立てましょう。
  5. どうしても自分だけでは実験がうまくいかない時
    生化学の実験では、マイクロリットル、ナノモル、ピコグラムという微量のものを扱っている上、定量するという目的の実験が多いため、細かい作業が再現性良くきっちりできないと結果が出ません。そのため、細かな作業の苦手な人の場合や試薬の入れ忘れなどのケアレスミスの多い人の場合、苦労すると思います。何度か練習しても改善しない場合(結果が出ない場合)は、別のアプローチを考えましょう。できないからといって、ノートもまとめず、実験結果も報告せず、ダラダラと遊んでいては、誰からも助けてもらえません。自分でできないなら、誰かに協力してもらう必要があります。どうすれば、協力が得られるか、自分にできることはないのか、よく考えてみましょう。また、協力してもらうには、日頃から人間関係を良好に保っておく必要がありますし、日頃の卒業研究への取り組みの姿勢が重要になってくると思います。
  6. 時々、初心に戻ってどんな目的で実験をしているのか思い出してみる
    ゼミ生活に慣れてくると、惰性で実験を行いがちになります。マンネリに陥らないために、何を明らかにするための実験を行っているのか?期待した結果は得られているのか?時々、思い返してみましょう。そして、余裕があれば、自分の研究に関わることについて調べてみましょう。実験技術についてでもいいし、研究対象についてでもいいと思います。
  7. 友達に自分がやっている研究について話してみる
    時には、お茶でも飲みながら、自分の実験について同級生に話してみましょう。興味をもってもらえるように話ができるかな?
  8. 再現性をとる実験もやさぐれずに行う
    実験が正しく行えたかどうかを確認するために、実験の再現性を調べてもらうことがあります。同じ操作の繰り返しになりますが、サイエンスにおいては極めて重要なことです。再現性が確認できなかった時も投げ出さずに、各操作をチェックし同じデータが出ない原因を調べましょう。操作が前回と同じように出来ていたかどうかをチェックするには、毎回、一つ一つの操作を客観的に観察しておくことが必要です。
  9. 報告すべき事柄はすぐに報告・連絡する
    自主的に実験を進めるとはいっても、自分勝手に行うという意味ではありません。チームの中に属して研究を行うわけなので、休む時、実験予定が遅れそうな時、トラブルが発生した時、結果が出た時など、報告すべきことが生じた場合、すぐに先輩や先生に報告・連絡しましょう。
  10. 共通の場所・試薬・機器を使う時は注意する
    研究室という組織に属しているので、実験した後、片付けをしなければ、他のメンバーに迷惑がかかります。また、共通の試薬などを汚したり、共通機器を壊すと次に使う人に迷惑がかかります。共通試薬や器具はなくなってしまう前に先輩・先生に報告しないと、注文してから商品が届くまでに時間がかかるため、すぐに実験ができません。共通の場所・試薬・機器を使う時には慎重に注意して行うようにしてください。
  11. 嫌々やらずに楽しくやりましょう
    卒業研究は必修科目なので、否が応でも受講しなければなりません。楽しく意欲的に取り組んだ卒研も、嫌々やらされたと感じる卒研も同じ時間が消費されるなら、楽しく取り組んだ方が実りが多いと思います。